アイシテル物語

かしわ哲さんの「アイシテル物語」シリーズを、最近読み返しています。
思い出補正もあるかもしれないけど、やっぱりいい本だなと思います。

全体の雰囲気は教育テレビの人形劇みたいな感じ。
子どもたちが原っぱを駆け回って遊んで、おいしいものを食べて、寝て、今日も明日も楽しいぞ!みたいな。
それだけでも十分癒されるんだけど、ふとした瞬間に、人の心の暗いイヤな部分とか、誰ともわかり合えない寂しい部分が見えるんですね。そこがすごくいい。

自我がはがれ落ちていったり、心が閉じて固まってしまったり、そういう瞬間の描き方がいつもリアルだなと思います。
たとえば「ポッポタンの花」の話で、主人公のアイシテルが自分を役立たずだと思ってしまうシーン。
大した理由があるわけではなく、仲間の中で自分だけ気の利いた発言や提案ができなかったというだけ。
でもそれが心に引っかかって、いたたまれなくて、もうやだ自分嫌い!!となるのはすごくよくわかる。
そしてそれが直るには、周りのフォローと自分の納得と、何より時間が必要なのもよくわかります。

主人公や仲間の誰かが「いつものその人じゃない」状態になってしまって、切り離された状態から、また元に戻ってきて、心がふわっとつながる。
癒しというよりは、浄化という感じかな?
読んでただ元気になるというのとは違うかも。
元気がない時があっても、いじけて無益な時を過ごしても、それはそれで許されるんだなあ、という…安心感?
あれもこれも、時が解決してくれるさ、と思える。

好きなキャラクターは鳥型ロボットのテコリン。
しゃべり方も性格も一番クセがあって鬱陶しいんだけど、なんか好きだ。
他の子はあまり問題がないので、あえて問題のある奴に注目してしまう。

挿絵画家の松井しのぶさんのサイトを見ると、もう廃刊になってしまっているとのこと。
子どもも大人も楽しく読める本だと思うのに残念。
復刊してくれないかな〜。
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theme : 児童文学・童話・絵本
genre : 小説・文学

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