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ローゼンメイデン ツヴィリンゲ 感想
2013年07月21日 (日) | 編集 |
小説版にはあまり興味がなかったのですが、原作を踏まえたエピソードであることと、何より表紙が可愛くて可愛くて正気を失いそうだったので買いました。

「ローゼンメイデン ツヴィリンゲ」。

もっと適当な、素人っぽい作品なのかなと思っていたら、文章も構成もかなりきちんとしていました。
原作のサイドストーリーとして十分価値のある作品だと思うので、翠星石と蒼星石のファンはもちろん、原作の最近の展開を知っている人や、結菱屋敷のエピソードに煮え切らなさを感じていた人も、ぜひ読んでみてほしいです。

追記で詳しく感想を書きます。
「ツヴィリンゲ」は、翠星石と蒼星石が結菱老人の家に来た時のエピソードに、過去のマスターの回想を重ねた物語です。
ちょうど原作で語られなかった部分、もっと言えば描写不足だった部分なので、こうして作品化されて良かったと思います。

原作初期では、翠星石と蒼星石については「この子はこういう子なんだよ」「二人はいつも一緒だったんだよ」と台詞で説明されるばかりで、具体的な描写があまりなかったんですよね。
今だから言うけど、蒼ちゃんが死ぬシーンなんかも、フランダースの犬の最終回だけいきなり見せられるような感じで、読者の気持ちを動かすための土壌が少なすぎたと思うんです。

この小説は、原作のそういった部分をうまくカバーして、結菱老人とのやりとりや、前のマスターとの関わり方をしっかり描いているので好感が持てます。
翠星石と蒼星石のキャラを売るだけの萌え小説にはせず、本編を補足するための物語としてきちんとまとめられているところも良いです。

さらに、原作が既にかなり進んでいて、アリスゲームの始まりや仕組みが明らかになっているのも、この小説を作る上で大きな利点になったんじゃないかな。
多分、実際に原作で結菱エピソードをやっていた頃は、まだ決まっていないことが多くて、二人の気持ちをここまで掘り下げられなかったと思います。
お父様の箱庭で過ごした時間や、姉妹たちそれぞれのアリスゲームへの思い、雪華綺晶の存在…。
全て踏まえた上であの頃のエピソードに立ち返ってみると、こんなに立体的に見えてくるんだなと思いました。

前のマスターが、皇帝とガラス職人だったという設定も、ローゼンメイデンの世界観に合っていると思います。
ガラスの壷を作る過程や出来上がりの美しさが細かく描かれていたり、ヨーロッパの古い建物や庭の様子が描写されていたりするので、それを読むだけでも楽しめます。
翠星石と蒼星石がマスターの心の樹を手入れする様子も、文章でわかりやすく表現されていました。とにかく文章も台詞もしっかりしています。キャラクターの口調を正確に再現しつつ、でも安っぽい二次創作路線には走らない、安定した作りになっていると思います。

私が好きなのは、翠星石が結菱屋敷を去る直前、メイドの穂積と話をするシーン。
人の気持ちをよく汲み取って、自分にできることを着実に探す、翠星石の芯の強さが表れています。
原作では蒼星石と別れた寂しさのあまり、何も考えずに真紅のところへ来たような印象でしたが、この小説ではそこも計算ずくだったように描かれていて、このほうが好みかも(笑)
翠ちゃんは人の心をつかむのが上手ですから。
誰かについて行きたそうな顔をして、実は「俺について来い!」なタイプですよね。

逆に蒼ちゃんは、あれこれ人を頼ったり動かしたりできないので、行き詰まると大変なことになってしまいます。そういうところは真紅と似てるのかな?
nのフィールドで翠ちゃんの幻を追いかけていったら、ハサミに当たって首がごろりと落ちて…あのシーンはホラーチックで印象的でした。蒼ちゃんの内に秘めた不安や迷いが表れてますよね。
で、それが翠ちゃんではなくきらきーの首だったとわかり、全力で投げ捨てる蒼ちゃん。お姫様抱っこよりも洋服取り替えっこよりも、この行動に惚れたのは私だけでいい。

最後の月を見上げるシーンは美しいです。
余計な描写や内面吐露は一切なく、ただそれぞれの見上げた空だけが残るような、美しい終わり方でした。
…なので。
おまけの呪い人形話は、いらなかったです。
本当に本当にいらなかった。何であれ入れたの? 意味わかんない。
ツヴィリンゲ自体が思った以上にヒットだったので、あれだけが残念。
何度も言っちゃうけど、何で入れたの!?
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